Suzuki Satoshi

エンジニア、音楽家、動画制作者

クビを宣告されたダメ派遣社員が、エース級開発者になった話

1.クビ宣告

昔、あるところに、派遣社員の新人くんがいました。
新人くんはミュージシャンでした。割のいいバイトを求めて、IT系派遣会社に潜り込んだのです。

新人くんが配属されたチームは、課長、先輩姉さん、新人くんの3人のチームです。

新人くんの仕事は、Accessのデータベースに案件を登録し、EXCELで計算をし、WORDの資料をまとめ、それを会議に掛ける事でした。

新人くんは、服装も変で、発言も社会人らしいとは言えず、ミスが多く、評価は惨憺たるものでした。会議の受け答えもすらすらとできず、議案を炎上させては、課長や先輩さんを困らせていました。

『今度の契約更新はないよ』と、課長は新人くんに言いました。
まさにクビです

色々失敗したし、それも仕方ないか…と、一度は諦めかけた新人くんでしたが、隣の部署のベテラン女性・トトロさんが課長を説得してくれ、何とかいったん契約更新してもらう事ができました。


2.手がかりはSQL

『飛躍的に成長すること』

これが、次の契約更新を勝ち取る条件でした。猶予は3ヶ月間。
新人くんは途方に暮れました。僕に、何ができるんだろう・・・

折しも、課長が新人くんに、以前から頼んでいた事がありました。
課長が作った、Accessのデータベース。
その保守と改善を、新人くんにやって欲しいと言っていたのです。

新人くんは、どうやってよいか分からず、これまで手をこまねいていました。
『これに挑戦することが、僕の飛躍的な成長になるのでは?』そう考えたのです。


派遣会社のwebサイトに、無料で技術系の研修を用意してくれていました。
過去に、いくつかの研修を受けた事があります。

新人くんが改めてサイトを見直すと、このようなアドバイスが書いてありました。

『初心者はまず、SQL(データ取得言語)をマスターせよ!』

この言葉が、新人くんの頭に天啓のように響きます。
『まずSQL、まずSQL…』

新人くんはアホですが、素直なのがとりえでした。

さっそく、SQLの本を買いに行きます。
大きな本屋さんの技術書コーナーは、聞いた事のない技術ばかり。

やっとSQLのコーナーを見つけ、一冊の本を大事に抱えて帰りました。


3.修行開始

次の日から、資料作成の合間にSQLの本を広げ、Accessで練習を開始しました。

データに条件を掛けて抽出してみる、データを集計してみる・・・
『こんなデータが取れたらいいのに』と思っていた事が、どうやらSQLを使えば実現しそうだぞ、しめしめ・・・
というふうに分かってきました。

そうなると、俄然面白くなってきます。

取れたデータを画面に表示するためには、どうやらサブフォームを作る必要があるな、
サブフォームをきちんと表示するには・・・VBAというプログラム言語が必要らしいな。

これが、新人君とプログラム言語の出会いです。

新人君は、Accessのフォーム画面を改善する事をきっかけに、プログラムにハマり始めます。

まずは、試行錯誤の末、取りたかったデータを画面に表示させる事に成功し、狂喜乱舞します。
そうなると、あれも表示させたい、これも見せたい・・・と欲が出てきます


4.さらなる飛躍

新人くんには、もう一段、飛躍する時が訪れます。

EXCELで作っていた計算は、実はAccessのデータから転記している部分が多いのでした。『だったら、EXCELがAccessにデータを取りに行けば、勝手に資料ができんじゃね・・・?』

新人くんは、すでに常連となった本屋で、聞いてみるのでした。
『EXCELとAccessのデータ連携について書いた本はないですか?』
1冊だけありました。すぐに買って帰り、バイブルとして持ち歩くようになります。

次の日から、さっそく実験開始です。最初はもちろん、うまく行きません。

しかし、分厚く垂れこめた雲を割って、突然に、ズバッとデータが取れる瞬間が訪れます。
新人くんは、ふたたび狂喜乱舞します。

その日から、新人くんの仕事は激変しました。

何しろ、EXCELが自動的にデータを取って、資料を作ってくれるのです。
調子に乗って、Wordに転記するところまで自動化しました。

もはや資料の作成時間は、1/5程度になりました。
何しろ、夕方までかかって作っていた資料が、午前中に全部終わるのです。

残りの時間を、新人くんは、プログラミングの練習に充てました。
来る日も来る日も、プログラムを書いては実験し、どんどん自分のものにしてゆきます。


5.転機

やがて次の契約更新が訪れました。

課長は切れ者で、すでに別の部署に抜擢されています。
(元)課長は、新人くんにこう言いました。

『君は、果たして飛躍的に成長したね。
そこで、私の今の仕事を手伝ってくれないか?』

課長の新しいチームは、品質管理と業務改善を行うチームでした。
新人くんの新しい仕事は、各部署でバラバラに管理しているAccessのシステムを、連携して共通のデータを使うように、統合する事でした。

新人くんは、あちこちの部署で話を聞き、Accessでアプリをデザインし、納品しました。
新人くんは、元来クリエイターです。ものを作る時間は、至福の時でした。

もはや、新人くんは、すっかりお荷物ではなくなり、データとアプリを扱うスキルを持つ、数少ない者として、重宝される存在となりました。


6.旅立ち

やがて、新人くんには、派遣契約満了の日が訪れます。
この会社では、派遣社員は3年間が上限で、それ以上の更新はない事になっていました。

(これからどうしようか。開発のスキルはお金になりそうだ。開発者になろう・・・)
そう思う新人くんに、一通のメッセージが来ました。

先に派遣契約を満了していた、先輩社員のZさんから、SNSのメッセージが来たのでした。『噂は聞いてるよ。開発の仕事したいなら、うちの会社に来たら?』

・・・

こうして、クビ寸前のお荷物派遣社員は、開発者になる事ができたのでした。
やがて、拙いながらもチームリーダーを担当し、チームの開発を主導し、
若手に指導できるスキルが着きました。

転職して10年、新人くんは、今ではudemyで講座を開けるまでになりました。
あなたが今見ている講座は、かつての新人くんが作ったものです。


7.おわりに

これは、講師の僕に起きた、本当の話です。
あなたに、プログラミングをきっかけとして、人生が変わった人もいるんだよ、という事を知って欲しかったのです。

長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。

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