
「哲学」と聞いて皆さんはどんなイメージをお持ちになりますか?「哲学者は浮世離れしている」「小難しい」「何の役にも立たない」等々…。はたしてそうでしょうか?
古代ギリシアの哲学者ディオゲネスは、贋金を作ったり(諸説あり)、当時の大権力者のアレクサンドロス三世に歯向かったりと、きわめて破天荒な性格で、まさに哲学者を体現するような人物です。そして、彼の生き方や思想には、現代においてもなお、哲学を学ぶ意義を見いだすことができます。今回は、ディオゲネスのエピソードを紹介しながら、哲学をすることの意義と何よりも「哲学すること」の楽しさについて考えてみましょう。
◎参考文献:ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝(中)〔全3冊〕』加来彰俊訳、岩波文庫、2007年/山川偉也『哲学者ディオゲネス 世界市民の原像』講談社学術文庫、2008年。
「この世界はいったい何からできているのか?」
哲学は、古代ギリシアにおいて、世界の起源(アルケー)を問うこの問いから始まったとされています。同時に、人間が世界を理解するためには必ず言葉を使わなければならず、これによって様々なパラドクス(逆説)が引き起こされることになります。
哲学が言葉と思考に関わる以上、こうしたパラドクスに立ち向かうことが運命づけられたといえます。今回は、ゼノンのパラドクス(アキレスと亀のパラドクス等)に着目し、世界と言葉、言葉と思考の奇妙な関係について考えてみましょう。
古代ギリシアの哲学者は「この世界が何からできているのか」という「世界の起源」への問いから始まりました。しかし、世界の起源を問うということは、そもそも、この世界がある(存在する)ということをあらかじめ前提としています。ならば、哲学が第一に問うべきは、この世界がある(存在する)とはどういうことなのか、そもそも存在とはどういう意味なのかということでなければなりません。古代ギリシアの哲学者であり、エレア派の創始者パルメニデスが発したこの問いは、哲学史に多大な影響を与え、哲学史全体を連綿と通底する「存在論」を始めることになりました。パルメニデスの問いのインパクトを体験するとともに、この問いに対する彼の驚異的な回答から、はたして存在とは何かということについて考えてみましょう。
◎参考文献:プラトン「パルメニデス」(『プラトン全集〈4〉』所収、岩波書店)
哲学史全体を見渡した時、もっとも多大な影響を与えた哲学者といえば間違いなくプラトンとアリストテレスでしょう。
たとえば目の前にあるリンゴは食べてしまえば無くなりますが、「リンゴ」そのものがこの世界から無くなるわけではありません。では、リンゴをリンゴたらしめているリンゴの本質は、はたしてどこにあるのでしょうか?さらに、愛や美しさ、善や悪といった目に見えないものの本質もまた、存在するのでしょうか?
あらゆる物事の本質はこの世界にはなく、天上のイデア界にあると考えたプラトン、いや、そうではなく、むしろこの世界のなかにこそ本質は見出されるべきだと考えたアリストテレス。対立する二人の哲学者の思考は、その後の哲学史において展開される大きな対立軸を作ることになります。今回は、プラトンとアリストテレスの哲学の概要を理解し、彼らが哲学史に与えた影響について考えてみましょう。
◎参考文献:プラトン『国家』(『世界の名著7 プラトンⅡ』所収、中央公論社)/アリストテレス『形而上学』(岩波文庫)
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