
リーダーになって、自分の仕事は減りましたか。
多くの方の答えは、減っていない、です。
それどころか、メンバーからの確認が1日に十数件来て、自分が答えないと案件が止まる。「なるべく早く」と頼んだ仕事は、遅れて戻ってくる。年上の部下にどう接すればいいか分からない。言いにくいことは、来週に回している。手が空かないので、いちばん難しい案件は結局、自分で抱える。ここまでが、はじめてリーダーになった方に共通して起きていることです。
この講座は、なりたいリーダー像を描く講座ではありません。来週チームに向けて「誰に・何を・何回」やるかを決めて、実行して、4週間ごとに数えて直す講座です。
■ まず、1週間の記録を1つ配ります
高瀬主任という架空の人物を使います。業務用空調と厨房機器の保守を請け負う、従業員約280名の会社の東部サービスチーム。高瀬さんは34歳、入社11年目、4月にリーダーになって3か月目、メンバーは6人です。
この人の1週間を記録すると、週45時間の内訳はこうなります。自分の案件28時間、割り込み9時間、会議と報告5時間、そしてチームに向けた行動が3時間。全体の7%です。しかもその3時間の中身を5つの行動で数えると、示す2回、決める1回、手放す0回、返す1回、守る0回、合計4回しかありません。残りは進捗の確認でした。
視聴開始から6分の地点で、あなたはこれと同じ数え方を、自分の先週に対してやります。使うのは、配るスプレッドシートの1枚目のタブだけです。手本の記録から数える作業なので、手順どおりに進めれば数字が1つ出ます。自分の先週は「だいたい」で構いません。
■ リーダーの成果は、チームの合計で測ります
高瀬さんは月に68件を回して、チームで1位です。ですが、自分を10%伸ばして増えるのは6.8件。メンバー6人の合計222件を10%伸ばせば22.2件です。伸ばす余地は3.3倍あります。
リーダーになると、掛け算の相手が自分からチームに変わります。それでも自分の件数を追い続けてしまうのは、そこでしか評価されてこなかったからです。
なお、これは伸ばす余地の差であって、6人を10%伸ばせるという意味ではありません。数字はすべて架空のモデルのもので、実在の会社の実績ではありません。
■ 都合の良いことだけを言うつもりはありません
・手放すと、最初は遅くなります。高瀬さんが渡した3業務は、最初の月に自分でやる場合の1.8倍かかりました。3か月目で0.9倍です。1.8倍の月に取り戻すと、相手は次から手を挙げにくくなります
・耳の痛いことを言えば、関係は一時的に悪くなることがあります。それでも言う理由は、言わないまま通した1件が、ほかのメンバーから見える前例になるからです
・動かない人は、動かないこともあります。そのときに何を記録し、どこから先を自分ひとりで判断しないかまでお伝えします
・4か月目に、チームの合計は一度下がります。そして自分の件数は減ります。上司に先に伝えてあるかどうかで、その3か月の見え方が変わります
■ 理論は、1本だけです
理論を網羅して覚える講座ではありません。第5章に1本だけ、「いつ、どの型が効くか」を見る地図として置いています。使い道は、自分の行動が課題を進める側と人を支える側のどちらに偏っているかを見ること、それだけです。理論名を10個知っていても、来週の行動は1つも変わりません。
■ 大手・中堅にお勤めの方へ、そして少人数のチームを率いる経営者の方へ
主に想定しているのは、大手・中堅にお勤めの若手から中堅で、はじめて主任・係長・チームリーダーになった方です。3人から8人を動かす立場で、決裁の線も評価制度も自分では変えられない。その線の内側で、来週できることだけを扱います。新任リーダー向けの研修を担当されている方が、そのまま配れる形にしました。制度そのものに踏み込まないので、配る先の会社の規程と衝突しにくい作りです。いっぽうで、少人数のチームを自分で率いる中小企業の経営者・後継者の方にも、そのまま使えます。決める人と実行する人が同じという条件でも、5つの行動の中身は変わりません。いま部下がいない方は、後輩、他部署の相手、自分の上司を相手にして演習を回してください。行動の型は、相手が誰でも同じです。
■ リーダーの行動は、下にだけ向くものではありません
第5章に、上司を動かす回を1本置きました。上司の期待を3点で聞き返す。上司の判断待ちに「いつまでに決めてほしいか」の期限を切って頼む。メンバーの成果を名前つきで報告する。自分の件数が下がる期間を、先に伝えておく。中間の立場で詰まる場所は、たいてい上です。
■ 講座の道のり(6セクション・本編31本)
1. 導入 — リーダーシップを5つの行動に分け、先週を数える
2. 時間を作る — 自分の仕事を3つに区分して、手放す
3. 示すと決める — 期待の3点セットと、期限つきの決定
4. 返す — 事実、影響、次の行動
5. 守ると、相手で変える — 年上の部下、元同僚、動かない人、辞めそうな人、そして上司
6. まとめ — 来週の1枚と、4週間ごとの1周
1本は3分から8分です。週に2回、1回3本から4本のペースで、4週間で完走できる配分にしました。第3章・第4章・第6章の末尾には、動画を見ながら答えられる小テスト(3問×3回)を置いています。
■ AIの使い方
第3章と第5章に、AIを使う演習が1本ずつあります。曖昧な依頼文を期待の3点セットに書き直させる回と、1週間の行動記録から偏りと来週の1手の候補を出させる回です。Claude・Gemini・ChatGPTのどれでも、同じ文面がそのまま動きます。無料のプランで足ります。AIに任せることと、任せないこと(合格の水準を決めること、誰にどの言葉で言うかの決定、そして実行)は、そのつど線を引いてお伝えします。
■ 講師について
中小企業診断士 独立系FP。現役で複数の会社を経営し、自分で創業した2社を、メンバーに株式を譲る形で承継してきました。会社を経営する以上、人に任せて動いてもらう場面からは逃げられません。少し先を行く先輩として、隣で話すつもりでお伝えします。
最後に1つ。この講座を見終わったとき、あなたの手元には、来週のリーダー行動を書いた1枚が残ります。誰に、何を、何回やるか。それが、月曜の朝からやることの一覧です。