
コースの目的と全体像を確認します。また、コース成功の条件について、以下の点をお伝えします。
・楽しく取り組むこと
・本質的に「考える」こと ~フレームワークを覚えることが考えることではない
・日本語を丁寧に使うこと。言葉に敏感になること
まず、一般的な意味で「論理的」とはどういう意味なのかを確認しましょう。皆さんは「論理的な人」というとどんな人を想像しますか?また、「論理的でない」というとき、どういう状況を指しているでしょうか。まずは一般的な意味での論理を考えます。
論理とは言葉と言葉の関係性の一種のことで、言葉を正しくつなげていける人を論理的な人と言っています。では論理において重要な言葉と言葉の関係にはどのようなものがあるでしょうか。ここではイコールの関係(要約・解説)、理由と帰結の関係、新しいテーマに展開していく付加的な関係、そして対比的に転換していく関係の4つをとりあげ、実際に文章間の関係を考えてみましょう。
早速、文章の関係性を考える演習問題をしてみますしょう。ここでは大前研一『ボーダレス・ワールド』の一節を使い、どのような接続関係にあるかを考えてみてください。
演習問題の解説です。
もう一題、演習問題を行います。今度はさきほどのものよりも少し複雑な内容ですが、『シャネル 20世紀のスタイル』の一節を使い、どのような接続関係にあるのか考えてみましょう。要約にも取り組んでください。
演習問題の解説です。
論理を「言葉と言葉の関係性の一種」ととらえるならば、言葉同士の関係性の他に、全体と部分の関係性を理解するということも含みます。ここで、構造的に理解することと論理の関係を押さえましょう。
ここからは厳密な意味での「論理」を考えます。言葉と言葉の関係の中でも「AならばB」といった根拠・帰結の関係は「ある前提から別の主張を引き出す」という意味で特殊なものです。その導出は正しいのか?について古来から研究がすすめられ、非常に重要な分野と認識されてきました。ここが論理が重要視されるポイントでもありますので、まずは大枠を理解しておきましょう。
ここで論理というものがなぜ重要と言われるのかを一般的な意味での論理/厳密な意味での論理という2つから整理をします。ご自身でもなぜ論理を学ぶのか、その必要性を腹落ちさせましょう。
ここからは構造的な理解という内容に入ります。まず、分かることとはどういうことか、全体と要素を構造的に理解するということを考えましょう。
■扱う事例
・スターツ出版
分かることは分けることとすれば、分解は理解の前提となります。そして、思考は言葉を使って行う以上、分析的思考を行うためには言葉の上で分けられなければ難しいことになります。日本語(母語)の運用能力は論理力に直結しますので、言葉を丁寧に使い、語彙力を増やしていく努力を行っていきましょう。
単純に分けることと論理的に分けることは異なります。論理というものが意味的なつながりを必要とするのであれば、論理的分解も目的との意味的なつながりを必要とするでしょう。単に分けるだけの練習にならないよう注意しましょう。
演習問題の解説です。
要素分解のポイント、注意点を説明します。目的に応じた切り口、また各レイヤーでは抽象度(次元)をそろえること、そして漏れなくダブリなくわけるというMECEを意識することを挙げています。
※ただし、この段階では常に厳密なMECEを要求するわけではありません。
その他のよくある分解の軸を紹介します。特に掛け算の分解については定番がありますので、ぜひ知っておきましょう。
ここからは構造的理解を行うことによっていかに議論を深めていくかを考えます。まずは一方的に「○○はこうだ」と主張してくる人に対してどう向き合うか、構造的な分解を通じて考えていきましょう。演習として「営業力」について分解してみます。
演習問題の解説です。
こうした要素分解を練習する際、どうしても完璧な答えを目指してしまうことが多くなります。しかし、本当に分かりやすく説明する人は相手の頭の中の構造を踏まえて、それを補完する形で説明を提示できるものです。構造はいくつあってよく、目的に応じて色々な切り口から構造化できることが重要であることを理解しましょう。
2つ目の点は、「働き方改革」や「DX」「サステナビリティ」のようなビッグワードが飛び交っているときに、どのように整理するかです。使っている言葉は同じでも、描いているイメージや目的は別々な場合も多く、同床異夢になりかねません。しっかり目的を分け、それぞれに分解していくことでより中身がクリアになっていくでしょう。ここでは「働き方改革」を構造化してみましょう。
演習問題の解説です。
ある受講者の回答例を通じて、どのようにツリーを修正していくのかをイメージしましょう。
次に演習として、「サステナビリティ」を構造化してみましょう。意味のある分け方ということを意識してください。
演習問題の解説です。
3つ目の点として、2×2のマトリックスで物事を整理していく視点をお伝えします。様々なフレームワークもこの観点で作成されており、よりよく物事を分析し深掘りするために有効な考え方かと思います。色々な切り口を見ていく中で自分なりの切り口も見出していきましょう。
よく論理的思考においてロジックツリーという言葉を聞くこともあると思います。ここまで行ってきた要素分解・構造的理解というものとロジックツリーの違いを押さえます。また、ロジックツリーにおいてはMECEが厳密に要求される理由についても理解できると、より要素分解との違いがわかってくるでしょう。
ここからは厳密な意味での論理に入ります。ある前提から正しく別の主張を導くにはどうすればよいのか?演繹と帰納という2つの推論の方法から、まずは演繹について学びましょう。
ビジネスにおいて演繹的思考をいかに使うのかを事例を用いて説明します。ここでは、PLC(プロダクトライフサイクル)理論を前提に、WASHハウスの業績推移について考えていきましょう。
演繹法における大前提について、ビジネスにおいては多く経営戦略的な理論になってくるはずです。しかし、理論はその前提条件をしっかりと押さえないと単なるつまみ食いになりかねません。論理は前提を間違えると結論も間違えてしまいますので、前提条件をしっかり押さえるようにしましょう。
演繹法を使ってENEOSでんきの業績予測をしてみましょう。
演習問題の解説です。
もう一題、演繹法を使ってNikeの財務について考えます。どういう視点で見ると違和感を感じられるか考えてみましょう。
演習問題の解説です。
次に帰納法について考えます。厳密には演繹法だけを「論理」といいますが、昔から演繹と双璧を成す形で帰納法が使われています。具体的事象から共通点を見出して一般原則を見出す思考について考えていきましょう。
ここでもビジネスシーンにおける帰納法の使い方を見ていきます。どのようなサンプルから何が言えるのか、ぜひ自分でも言語化して考えてみましょう。
演習問題としてテレワークから出社への回帰を考えます。
演習問題の解説です。
もう一題、IT先進企業の取り組みを見て、そこから何が言えるかを考えてみてください。
演習問題の解説です。
演繹と帰納は思考形式として昔から多くの分野で両方使われてきています。制度を作る際も両方のやり方を採用できるはずですので、まずは広く実世界で使われているということを理解しましょう。
意味のある主張というものは、前提となる主張からそれなりの距離があるものです。しかし、距離が遠すぎると「そんなこと言えるのか?」という話になり納得性が薄くなってしまいます。当然の議論を積み上げていく中で遠くまで行けるところに論理の強みがありますので、論理を積み重ねていくという感覚を体験しましょう。
演習問題の解説です。
形式論理を超えて、日常的な論理として「程度問題」というものがあります。その主張はどの程度確からしく言えるのか、あるいは例外はないのか、などを押さえるとより強い主張になるでしょう。トゥールミンロジックの枠組みを使って説明します。
演繹と帰納だけではなく、第三の道として仮説思考というものを紹介します。AならばBというものを積み上げるだけで世界を記述できるわけではなく、Bということが起こっているのはAだからではないか?と仮説を考えることで人類は知の世界を切り拓いてきました。この仮説思考の持つ発見的性質について、その可能性を押さえましょう。
さて、演繹と帰納、そして仮説思考において今の時代に重きがあるものは何でしょうか。変化が速い時代に必要な思考力というものを考えましょう。
ここでは補足として虚偽論を扱います。一見ロジカルに見えるが誤っている議論のことを詭弁と言いますが、その典型例を押さえることでだまされないよう自己防衛をしておきましょう。
ここからは応用として説得的な説明について論理的思考の観点から考えます。まずは導入として「わかりやすさ」について考えてみましょう。
ピラミッドストラクチャーと呼ばれる構造を導入します。これはフレームワークというよりも、最終的な主張を頂点にして根拠づけしていくとピラミッド構造をとらざるを得ないということです。今までの演繹や帰納との関係も含めて考えてみましょう。
分かりやすさについて、予測可能性を担保するためには全体の構造を先出しすることとともに、説明対象について適切に提示することが重要です。相手の頭の中をしっかり整理してあげましょう。
まずピラミッドストラクチャーにおける縦のつながりについて考えます。一般的にある主張を提示された場合、解説を求めるか根拠を求めるかという2択になりますので、ここでも縦の構造を解説系か根拠系かで整理しています。
演繹や帰納を考えたとき、根拠が1つしかないということは通常あり得ません。自明であると思っても、論理的に何を前提にしているのかを考え、ご自身の思考を明確にしていきましょう。
ここではピラミッドストラクチャーに慣れるため、すでにある文章をピラミッドストラクチャーに直して構造化してみようというワークをしたいと思います。『伝え方が9割』という有名な書籍から引用します。
演習問題の解説です。
次にピラミッドストラクチャーの横の構造(根拠の網羅性)について考えます。基本的に相手が納得すればそれでよいのですが、大きく規範命題(~すべきだ)と事実命題(~だ)の間では根拠のパターンが異なるように思います。ご自身なりにどういう場合に説得的と感じるかを考えてみましょう。
さいごに、現実の判断においてはすべて主張をサポートする根拠ばかりではなく、ものによってはネガティブな事実もあるのが普通でしょう。それらもすべて考えたうえで「総合的に判断して」結論を出すのが判断というものです。そういった主張をどのように考えるか、考えておきましょう。
最後の演習として、「移民は許容できるか」というテーマについてピラミッドストラクチャーを作ってみます。ご自身なりにサブカテゴリ―の主張について考え、言語化してみましょう。
演習問題の解説です。
参考までに、ライティングにおける構造化の基本を説明しています。
全体のまとめをします。論理的思考力は日本においてお手軽なフレームワークと同じような扱いを受けているように感じています。しかし、本来的には古来から正しく強い主張を行うために重視されてきた分野であり、自分のコメントを単なる感想に終わらせないためにも大切な思考方法となります。是非改めて学び、ご自身の思考体力を益々磨いていってほしいと思います。
1.【受講者の悩みや問題】
ロジカルシンキングの研修を受けたり書籍を読んだりしても、実際にどのように使うかが腹落ちしていない。
論理的思考について真剣に学びたいが、練習する場があまりない
話が分かりにくい、または説得力がない/もっと論理的に話してほしい(書いてほしい、考えてほしい)とよく言われる。物事の全体感や構造をつかむのが苦手だ
とはいえ、そもそもなぜロジカルシンキングが重要なのか、実のところ根本的な説明はできない
そんなあなたのために、このコースを作りました!
2.【このコースの特徴】
しっかり5時間の動画コースで、多くの演習を通じてロジカルシンキングを実感する
単なるフレームワークではなく論理の本質的な意味を学ぶことで、いままでロジカルシンキングに対して感じているモヤモヤを解消することができる
言葉(語彙、接続詞など)を丁寧に使うことで思考の解像度を上げる
ビジネスに即した演習・事例を紹介、ロジカルシンキングの実践的利用についてイメージが湧く
※論理的思考の根本を押さえるコースですので、問題解決系のロジカルシンキングは扱いません。問題解決のためのロジカルシンキングに特化して学びたい方は本コースの購入はお控えください。
→ 詳しくは補足事項をご参照ください
3.【カリキュラムの概要】
第0章:はじめに
第1章:論理はなぜ重要か
第2章:構造的に「理解」する
第3章:正しく「推論」する
※ ビジネスにおける演繹法・帰納法、また仮説思考の意義などを扱う
第4章:説得的な「説明」を行う
■ 補足事項
本コースは演習を中心とした本格的なコースです。手っ取り早く学びたいという人にも不向きかもしれません。
問題解決系の内容は含みません。また、ロジカルシンキングですので、デザインシンキングやシステムシンキングなどの思考法は含みませんのでご注意ください。