
受講者特典として資料のダウンロードができます。
コースの目的と全体像を確認します。また、コース成功の条件について、以下の点をお伝えします
・楽しく取り組むこと
・地政学は魅惑的、ただし宿命論として思考を止めないこと
・国家の意思が大切、民主主義国家においてはそれは国民の意思である。日本はどうあるべきかをしっかり考えたい
まず初めに最近の地政学ブームを時代の変化として振り返ります。もともと地政学は戦後、「悪魔の学問」として封印されタブー視されてきた歴史的背景がありました。講師の個人的思い出も含め、共有したいと思います。
地政学とは何かをまずざっくりつかみましょう。地理がどのように国家戦略に影響するかを考える学問ですが、それだけではピンとこない方も多いと思います。その中身は今後のレクチャーでゆっくり考えるとして、ここでは代表的な事例である英露の対立、ザ・グレート・ゲームを紹介します。
ここで簡単に地政学の流れを押さえます。地政学には大きく2つ、英米系と大陸系の流れがあり、その中身は大きく異なります。シーパワーを中止とした戦略を考える英米系と国家を生命体に見立てる大陸系、日本にはどちらも影響していますが、中身はまるで違うものですので良く理解してほしいと思います。
日本への影響として、海軍を中心に受け入れられたマハンの議論を紹介します。アメリカをシーパワーへと変貌させたマハンについて、歴史とともに振り返りましょう。
もう一つ、陸軍を中心に影響を持ったハウスホーファーを紹介します。これは英国に対抗するための生存圏を主張するもので、日本の大東亜共栄圏の発想にもつながりました。ヒトラーに影響を与えたともいわれ、戦後は割腹自殺をしています。
地理と言うと絶対的にそこに存在するものというイメージがありますが、英語のGeographyの中には地球をどのように描くか(Graph)といいうニュアンスが含まれます。実際、地理というものは見る人によって描き方が変わるもので、そこに戦略的自由が存在します。ここではその二面性を理解しましょう。
国家戦略に限らず、戦略はそもそもの目的が重要です。目的なくして戦略なく、それは地政学も同じです。日本人の多くは今、旧日本帝国の領域を回復したいとは思っていないと思いますが、それは世界的に当たり前な話ではありません。国家にはそれぞれ意思があり、それが地政学にも関係してくることを押さえましょう。
ここで地政学がそもそも力を持ち始めた背景を指摘しておきます。それは大航海時代が終わり、地球上にフロンティアがなくなったということです。領域の拡大でパイを広げることが出来ない以上、相手との関係性の中で戦略を考えざるを得ません。帝国主義の時代、「閉じた世界」という認識が世界観を変えていったことを説明します。
地政学の中身に具体的に入っていきます。色々な概念が出てきますが、地理が持つ影響は当然多層的です。全部をごちゃまぜにして理解すると分かりにくくなりますので、ここで以下のは階層別に説明をしていきます。
(1)民族の文化・体制・マインド
(2)国家戦略
(3)戦術
山や川、気候や風土といった地理的条件はそこに住む民族の考え方の基盤になります。それ自体は歴史学でも指摘されてきたことですが、特に地政学では大陸国家と海洋国家の違いを強調します。ランドパワーとシーパワーという言葉は地政学では必ず出てきますが、ここで詳しく理解しましょう。
ランドパワーとシーパワーの違いについて更に詳しく見ておきましょう。安全保障の考え方が全く違うことに注意してください。また、統治と支配という考え方の違いも指摘します。
ランドパワーとシーパワーという話をしていますが、河川と海はどのように扱われるのでしょうか。地政学的な観点から、寡占の意味合いを押さえておきましょう。
ここで一つ演習として中国の一帯一路構想について考えてみましょう。ランドパワーとシーパワーは両立しないというテーゼがあるわけですが、それはここではどう考えるべきなのでしょうか。正解はない問いかけですので、自分で考えてみましょう。
演習問題に対する考え方の例をお示しします。
もう一つ重要な問題として自国について考えてみましょう。日本はランドパワーなのでしょうか、シーパワーなのでしょうか。もちろん一国の中で勢力が変わることもあり得るでしょう。また、もしシーパワーと考えるならば、なぜ大英帝国のような発展を遂げなかったのでしょうか。ぜひ考えてみてください。
演習問題に対する考え方の例をお示しします。
ここからは地政学のメインである、国家戦略に対する地理の影響を考えます。まずは地政学の祖ともいえるハルフォード・マッキンダーの考え方から見ていきましょう。大きく言えばいまだに地政学はマッキンダーの手の中にあると言ってもよく、最重要人物です。
次に米国のスパイクマンに移ります。スパイクマンは地理的に考えて東半球における米国の優位性を認めつつ、西半球に統一的権力が現れた場合の危険性にも目を向けました。「米国は囲まれている」という認識を共有しましょう。
勢力均衡(バランス・オブ・パワー)は近代欧州における基本的な外交原則、安全保障の原則です。ここでおさらいをしておきましょう。
スパイクマンを語るうえで外せないのは、真珠湾攻撃直後であるにもかかわらず、地政学的観点から「戦後は日本と結ぶべき」と主張していることです。スパイクマン自身は戦中に亡くなってしまいますが、それがその後のソ連封じ込めにつながっていきます。
次に冷戦期の米国外交でも有名なキッシンジャーを取り上げます。「地政学」という単語を流行らせた人間でもありますが、イデオロギーにとらわれない地政学の考え方を体現していると言えるでしょう。
米国の最後の事例として、冷戦後の構想を考えるブレジンスキーの例を挙げましょう。これは今の米国の外交戦略に直結するもので、ウクライナ問題なども意識しています。米国の覇権をどう維持するか、それを地政学的に考えましょう。
最後に、英米系の地政学だけでなく大陸系、ロシアの考え方も見ておきましょう。こちらは国家戦略というほどシステマティックがどうかは議論の余地があるところですが、勢力圏として自国の影響力を保とうとする姿勢は押さえておく必要性があります。
参考までに、ウクライナ問題の背景と2014年のクリミア併合がどのような影響を及ぼしたかを簡単に振り返っておきましょう。ロシアの地政学については次の章でも個別に扱います。
次に戦術レベルの話に入りますが、地形が戦術に影響するのは当然のことです。地政学の中ではチョークポイントを押さえることが重要になりますので、世界地図の中でのチョークポイントを考えてみましょう。なお、チョークポイントは海洋地政学の用語ですので、陸地には使いません。
チョークポイントの一つにマラッカ海峡があり、日本も大きく影響を受けるとともにシンガポールなどはその地理的位置づけで成功しています。それに対し、昔からタイのクラ地峡に運河を掘るというアイデアが提案され続けてきました。チョークポイントを巡る攻防として参考にしてほしいと思います。
次にシーパワーにおける制海権をどう防衛するか考えます。基本的な制海域の考え方とともに、基地の重要性についても考えましょう。
意外と見落とされがちですが、戦争を行う場合に最重要と言っても過言ではないものが兵站(へいたん)、要は補給の問題です。兵站は近代になって兵器が複雑になるほど量が多くなります。具体的に戦争遂行に必要なものをイメージしてみましょう。
ランドパワー・シーパワーに合わせてエアーパワーの重要性が指摘されています。ただし、それでランドパワー・シーパワーの議論が不要になるわけではありません。端的に言えば、エアーパワーは技術論なので戦術や戦略レベルの話なので、国民性にまで影響を与えるものではありません。エアーパワーの影響や前提条件をしっかり意識しておきましょう。
最近の戦争ではサイバーからの攻撃やフェイクニュースなどの情報操作が重要になってきています。また、それらを支えるインフラとしての海底ケーブルなどにも着目されていますので、併せて押さえておきましょう。
ここで兵站という観点で日露戦争を例にとってみます。あわせて、日露戦争時における政治家・軍人の戦争観の変化というものにも触れ、現代への示唆も考えましょう。
最後に、地理ですべての国家戦略が決まるわけではないという当たり前のことに触れておきます。戦略は総合的なものですが、地政学を学ぶとどうしても決定論に陥りがちという弊害もあります。冷静にどういう要素が他にあるのか、特に為政者の個人属性という点も例を挙げて考えてみましょう。
経済力によって国家の戦略的な自由度は変わりますが、衛材的な相互依存が進むと平和になるというエコノミック・ピースという議論があります。実際どう考えるべきか、また最近ではシャープ・パワーという議論もあるので、あわせて紹介します。
ここからは世界の3大戦略地域を中心に各国の視点から地政学的に戦略を考えます。まずは米国ですが、地理的に非常に恵まれた位置づけにあることを押さえ、またざっと歴史を振り返っておきましょう。
次に米国の2大政党制の背景について簡単に押さえます。歴史的には色々な変遷をたどりますが、現在の構造を押さえておくだけでとりあえず良いでしょう。そのうえで主に民主党的な国家戦略について復習します(ブレジンスキー)。
次に中国ですが、中国はいわゆるリムランドに位置するランドパワー国家、とはいえ長い海岸線を持ちシーパワー的要素も存在します。近代史における両者の争いを見ながら、現代中国を理解していきましょう。
中国の第一列島線、第二列島線、そして九段線という主張を確認します。そしてそれはシーパワー的な制海権の主張であることを理解しましょう。また、中国は内政に不安もある国であり、防衛的な意味で積極行動に出ているという理解がされています。
中国の一帯一路構想についておさらいします。陸路とシーレーン両方を押さえようという巨大構想を描けること自体も国力なのかもしれません。
中台問題について近年関心が高まっており、米国方面からは台湾有事のリスクが高まっているという話が出てきています。では中国の現状のスタンスはどうなのでしょうか。ここで台湾有事に関して考察します。
近年、ケナンがソ連封じ込めを説いた長電報(the long telegram、いわゆるX論文)を模して、「より長い電報」(The lomger telegram)という論文が発表されました。中国とどう向き合うべきか、米国の新しい視点を紹介します。
ここからは大陸国家の視点も見ておきましょう。ロシアの基本的な地理や人口問題、経済問題について概説します。
現在、旧ソ連と中国が中心となってランドパワー連合も形成されています。共同軍事演習なども行っており、動きはウォッチしておく必要があります。
ここでウクライナ問題について再度見ておきましょう。ウクライナの歴史を押さえることで紛争の見え方も変わるかもしれません。
ここからは中東に入ります。何度やっても分からない中東、何度やっても忘れる中東かもしれませんが、ここではいくつかの観点に分けて整理をしておきましょう。ざっくりですが、今後中東を見る視点になるはずです。まずは今の中東の国境を決めたサイクスピコ協定からです。
次にイランの歴史を学びます。模範的な親米政権から超反米へと切り替わった歴史は非常に興味深いです。また、このイラン革命を舞台にした映画なども多いですし、日本でも出光の「海賊と呼ばれた男」などもここが舞台となります。日本ともかかわりの深い国イランについて、学びましょう。
次にフランス統治領であったシリアについて学びます。現状、アサド政権ですが、中東で唯一残った親ロシア政権としてロシアからの支援が続いています。その他、アラブの春の影響などについても学びましょう。
最後にイスラエルを押さえます。バルフォア宣言以来、中東を約束の地として集まったユダヤ人ですが、ここでも紛争の種となります。現代世界の問題が集約されているといわれるイスラエルについて、概要をぜひ知っておいてください。
最後に、今後台頭するであろうインドを押さえます。インド亜大陸を押さえるインドですが、中国とパキスタンという敵を隣国に持っており、そこを無視するわけにはいきません。歴史とともに関係性を押さえましょう。
インドの独立と日本は大きく関係しています。日本のインパール作戦は悪名高いものですが、実は間接的にインド独立に影響し、モディ首相もインパール作戦への参加兵に会ったりしている事実もありますので、ここで紹介しておきます。
インドの課題を大きく押さえておきます。インドは世界最大の人口の国で人材の力も素晴らしいですが、国として成長するには課題が多いのも事実です。インドの今後の課題を考えていきましょう。
総まとめとして日本の地政学上のポイントを考えましょう。
講師からの考え方の案を示しておきます。正解はありませんので、是非ご自身で色々と考えてみてください。
参考までに、日本が今のような日米安保の下にない時期、独立した判断をしていた時期の考え方を紹介します。日英同盟の判断をどう行ったか、これはまさに地政学的には今でも通用する考え方のはずです。
最後に、ビジネスにおける地政学的リスクについて考えます。特にサプライチェーンや技術開発の問題をどのように考えるか、論点を整理しておくことが重要です。
古くて新しい問題といいますが、この30年間のグローバル化を抜きに今後を考えることはできません。私たちはすでにグローバル社会の恩恵を享受しているのであって、そこから簡単にブロック経済に戻ることはできません。今どのような状況にあるのかを客観的にみておきましょう。
2022年に経済安全保障推進法が成立しています。今後、企業にとっても直接的な影響を受ける分野ですから、必ずウォッチしておきましょう。
全体のまとめです。地政学をしっかり学ぶ機会は意外とないものです。これは単なる歴史の後追いでもなければ宿命論でもありません。自分の国の安全保障を客観的に考えたとき、どうすべきか、その方向性を示唆するものです。自国の視点だけでなく他国の視点も持ちながら、お互いの立場を理解し、国際社会を生き抜く知恵を築いていきましょう。
1.【受講者の悩みや問題】
地政学という言葉は聞いており興味を持っているが、どのように学べばよいか分からない
最近の米中対立やロシア問題、ブレグジットなど、政治がらみのリスクがどんどんと顕在化しており、事業を行う上で政治リスクをどう考えるか、基本的な理解が欠かせない(が、どうしたらよいか分からない)
歴史が好きで勉強もするが「事実の後追い」になってしまっている。これからの時代がどうなっていくのか、自分なりの視点や考え方の軸を持ちたい
とにかく国際政治や地政学について勉強したい!
そんなあなたのために、このコースを作りました!
2.【このコースの特徴】
5時間の動画コースで地政学の全体像をつかみ、近現代の歴史がどのように進んできたのか理解が深まる
地政学の考え方を知ることで、ビジネスにおける政治リスクをより精度高く押さえることができる
地政学を正しく理解し、単なる「歴史の後追い」や「宿命論」に陥らない、ダイナミックな戦略思考が身に付く
主要な地域の歴史や政治的なポイントについて押さえることができる(各論)
今後の世界動向について自分なりに考えることができるようになる
※歴史認識や「こうあるべきだ」という議論は個人の意見があるものです。このコースでは講師の見解も述べさせていただきますが、それ以外の見方を否定するものではありませんし、その是非を問うものでもありません。その点、ご了承の上ご購入下さい。
→補足事項もご参照ください。
3.【カリキュラムの概要】
第0章:はじめに
第1章 :地政学の背景と歴史 ~悪魔の学問の復権
第2章 :地政学の重要概念 ~地理と政治の多層的な関係
第3章 :各国の地政学的視点 ※米中、ロシア、中東(サウジアラビア/イラン/シリア/イスラエル)、インド
第4章 :ビジネスにおける地政学的リスク
■ 補足事項
基本的に事例は2022年度(コース作成時の最新情報)までのものを使っています
本コースは「地政学」を学ぶ方向けのコースです。特定の政治的信条についての賛成・反対の立場をとるものではありませんのでご了承ください。また、コース内での講師見解はあくまで私見であり、その是非について強いこだわりがある方はご購入されないようお願い致します。