
事例に使うのは、従業員68名の和菓子屋です。ただ、大手の1事業部でも、1つの商材でも、使う道具と順番は同じです。
上司や社長から「この事業を整理しておいて」「来期の方針を1枚にまとめて」と言われた。SWOTを埋めて持っていったら、会議で「で、何が言えるの」と返された。3Cも一度は埋めたけれど、市場・競合・自社の欄が埋まっただけで、次にやることは決まらなかった。本やサイトで一覧を見ても、30個がどれも同じ重さに見える。ここまでが、フレームワークを一度でも真面目に使ってみた方に、実際に起きていることです。
原因は、道具そのものより、使う場面の選び方にあります。
フレームワークは、見落としを減らすための問いの束です。答えを出す機械ではありません。だから、埋めた欄よりも、埋められなかった空欄のほうに価値があります。空欄は「次に調べること」を教えてくれるからです。そして、1つの判断に使う道具は2つか3つで足ります。30個を全部使う会社は、ありません。
■ 30個を、6つの場面に並べます
この講座は、30個の道具を6つの場面に並べます。外を見る、中を見る、お客を決める、勝ち方を決める、実行に落とす、確かめて直す。視聴開始から7分の地点で、6つの問いに「はい・いいえ」を付けて、あなたの課題がどの場面にあるかを判定します。「いいえ」が付いた場面が、いまの場面です。そこから入口の道具を拾い、同じシートの右の列に「今回は使わないと決めた道具」を書きます。ここまで書いて、判定は終わりです。30個を覚える前に、今日の自分に要るのは3つだと分かります。
■ 各道具は、3点だけ
30個それぞれの回は、同じ型で進みます。いつ使うか。いつ使わないか。そして、架空の和菓子屋「こもれび製菓」での1事例。最後に落とし穴を1つ。この3点と1つだけです。使い方の説明で終わらせず、「いつ使わないか」を30回すべてで言います。それを言えない道具は、まだ使えない道具だからです。
道具ごとに別の会社を持ち出しません。1社です。地方都市で和菓子を作って売っている、創業52年・従業員68名・売上9.6億円の架空の会社に、30個を順に当てて1周します。判断も1つに絞ってあります。来期の投資枠3,000万円を、店舗改装・EC倉庫と出荷人員・新商品開発のどこに使うか。同じ判断に30個を当てるので、どの道具が効いて、どの道具は使い先を動かさないかまで見えます。
■ 都合の良いことだけを言うつもりはありません
・伸びている事業が、儲けやすいとは限りません。ECは前年比+30%ですが、5つの力のうち3つが強く、5年後は今より儲けにくくなる見込みです
・SWOTの4象限を埋めた時点では、まだ何も言っていません。クロスで打ち手が7つ出ても、順番は決まりません
・PPMで「負け犬」に見えた卸を切ると、工場の固定費5,250万円がそのまま残ります。原価率は約9ポイント上がり、営業利益2,900万円のこの会社は赤字に落ちます。だから、卸は切りません
・値上げで売上の落ち込みは小さく見えますが、主力商品の個数は3年で4分の1減っています
・なぜなぜを5回掘って人の名前に着いたら、掘り方のほうが違います
■ 大手・中堅にお勤めの方へ、そして中小企業の方へ
主に想定しているのは、大手・中堅の企画・営業・購買・マーケティングの若手〜中堅で、「この事業を整理して」と言われる立場の方です。事例は和菓子屋ですが、会社全体を動かす必要はありません。あなたの事業部の1商材で成立します。「自社」と出てくるところは「自分の事業部」と読み替えてください。演習の指示も、その言い方で書いてあります。いっぽう、中小企業の経営者・後継者・幹部の方は、事例の規模がそのまま自社の規模です。3,000万円の使い先を決める順番を、そのまま持ち帰れます。
■ 手を動かすのは8個。残る22個は手本を見ます
配るシートであなた自身が埋めるのは8個です。3C、クロスSWOT、STP、4P、アンゾフの成長マトリクス、PPM、KPIツリー、損益分岐点。残る22個は、私がこもれび製菓の数字を記入するところを見ていただきます。最後に、埋めた8個を「経営の1枚」に結合して、1分で説明できる形にします。
■ 講座の道のり(6セクション・本編40本)
1. 導入 — 30個の地図と、6つの場面に置く判定(視聴開始7分の演習つき)
2. 見る — 外の4つ(PEST・プロダクトライフサイクル・5つの力・3C)と、中の4つ(バリューチェーン・VRIO・7S・SWOT)/演習
3. お客を決める — STP・ポジショニングマップ・ペルソナとカスタマージャーニー・4P・購買ファネル・RFM分析
4. 勝ち方を決める — 3つの基本戦略・ペイオフマトリクス・アンゾフ・PPM・ビジネスモデルキャンバス・戦略キャンバス/AI演習
5. 実行に落とす — PDCA・As-Is/To-Be・ECRS・RACI・ガントチャート
6. 確かめて直す — KGI・KPIツリー・損益分岐点・ABC分析・特性要因図・なぜなぜ分析/総合演習
1本は3分から7分です。週4回×3週間、1回3〜4本のペースで完走できる配分にしました。第2章・第4章・第6章の末尾には、動画を見ながら答えられる小テスト(3問×3回)を置いています。
■ AIの使い方
第4章に、AIを使う演習が1本あります。3つの成長案をアンゾフの4象限へ仮置きさせ、置いた理由を書かせて、その置き方に反論する回です。Claude・Gemini・ChatGPTのどれでも、同じ文面がそのまま動きます。無料で使える範囲で足ります。AIに任せること(仮置きと、置いた理由の言語化)と、任せないこと(着手する順番と、事例の数字の事実)は、そのつど線を引いてお伝えします。
■ 講師について
中小企業診断士 独立系FP。中小企業診断士として企業の診断・助言を行う立場から、私が実際に使う順(外を見る→中を見る→お客を決める→勝ち方を決める→実行に落とす→確かめて直す)で30個を並べました。提唱者や発表年、理論の歴史は扱いません。目の前の判断に、どれをどの順で当てるかだけをお話しします。
最後に1つ。この講座を見終わったとき、覚えている道具の数は増えていないかもしれません。増えているのは、「今回はこれを使わない」と言える道具の数です。