
こんにちは、DIY BOOKSの平田提(ひらた・だい)です。兵庫県の尼崎市・武庫之荘(むこのそう)でDIY BOOKSという、ZINEのつくり方を教えるスクールをやったり、ライティングのスクールを始めたりしています。
本業はWeb編集者・ライターで、主に企業のコンテンツマーケティングのお手伝いをする株式会社TOGLの代表をしています(4期目)。
実績
5,000記事を超えるWeb記事の編集
平田単独で500記事以上の執筆
数千以上の検索ボリュームの、数百のキーワードでGoogle検索1位獲得
20社以上のメディア運営、コンテンツマーケティングの支援
月30万PVのメディアを1年で月300万PVに。赤字→収益化も達成
兵庫県立大学などでコンテンツマーケティングの講義実績あり
ZINEスクールで数十名の生徒さんに作り方を教える
ZINEは十数作、10年以上制作。リソグラフ・手製本で1,000冊つくる
ミソを手に入れたことで書けるようになった
僕は小さな頃から文章を書くのが好きでしたが、大学時代にスランプになり、社会人になってからは売るための文章を書くのに苦労するようになりました。
ただそんな中で、文章の「ミソ」を手に入れてから、格段に書けるようになった。書くのも楽しくなりました。
「みそ汁は具材を水から煮出すのがミソだ」なんて言いますが、この場合の「ミソ」は「コツ」「肝心」「大事なこと」の意味です。
これから、あなたに文章のミソ、ノウハウをお伝えしたいと思います。
ノウハウとしてのミソ
日本において昔から味噌は大切にされてきました。
日本食の基本的な調味料、醤油・みりん・味噌は同じく麹菌というカビが発酵してできあがります。カビは一歩間違えば人体には有害です。ところが今私たちが口にしているお味噌で健康を害すことはほとんどありません。それは長い時間をかけて先人たちが「おいしく食べたい」「おいしく食べてほしい」と考えて、麹菌をていねいに育ててきたからです。
文章にもミソがある
文章にも、長年受け継がれてきたミソがあります。
「文体には『で・ある』調や『です・ます』調がある」
「『たり』は2回以上繰り返す」
など国語の授業で習うような常識に近いものもあれば、
「書く前に下書きをしたほうがいい」
「紙に書いて読み直したほうがいい」
といった個人のノウハウもあります。
文章の構造こそがミソであり、さらにメイン具材としての「テーマ(何について書くか)」があり、「いつ」「だれが」「何をした」といった事実・根拠が具材になります。ネギや豆腐をどう切るか、どんな順番で入れるかという手法も大事。
文章のミソさえ知ってしまえば、文章を書くのはきっと楽になります。
毎日、味噌汁をつくるように書く
みそ汁はおいしく、野菜や肉・魚を効率良く摂れ、整腸作用もあるお料理です。良い文章もそうです。きちんとつくられた文章は人の役に必ず立ちます。その人を動かすエネルギーになります。
毎日自分のために、誰かのためにみそ汁をつくるように、文章を書いてみませんか。毎日のみそ汁をSNSに上げるようには、いきなり誰かに見せたり発表したりしなくてもいいのです。いきなり完成
品をつくらなくてもいい。ミソをお湯にといたらおみそ汁です。
まずは自分で味見をする。それから人にも味わってもらいましょう。
手前味噌ですが、あなたが文章を書くのに役立つミソをこのコースにまとめました。
あなたの毎日の文章のいいダシになりますよう。
みそ汁をよそうのにお茶碗を用意するように、文章を書く前にまず器を用意しましょう。
文章にとっての器とは何か?
文章にとっての器……たとえば紙の本なら、束見本やラフです。
あるいは文字の制限。400字詰めの原稿用紙何枚か。Webサイトの文章なら、文字数がいくらか。
逆説的ですが、たとえばあなたがずっと書けずに困ってきたなら、まずカタチにしてしまうことです。
まずA4の紙を2回折って、重なった部分ははさみで切ってしまいます。背をホチキスでとめたら、8ページの本のできあがり。
まずカタチにしてから、どう埋めていくか考えてみませんか。文字数もいい器です。「この文章は1,000字にしよう」と思えば、書ける内容は限られてきます。そうすると文章がシュッとするのです。
自分で制限をつくろう
例えば昔、小学校とか、それ以降400字詰めの原稿用紙で、例えばこういうテーマについて800字で述べようとかそういう問題が出たりしたと思うんですね。それはやっぱり制限があるからその中で書くことができるわけです。ただ自由に書けって言われても、なかなか難しい。だから自分でまず制約を設けるっていうのが最初にやるべきこと。
お夕飯までにみそ汁をつくらないといけない、と思うと自然と逆算して段取りを組むものです。同じように、文章にも締切が重要です。
締切がないなら、ZINEのイベントに申し込んだり、SNSで「●日に記事を公開します」と宣言したりする。締切ができると自然と体が動くものです。締切も大切な器です。
まずは箇条書きで書きたいことを挙げます。紙にどんな文章にするかイメージ図のラフ描いてもいい。手を動かすとだんだんできあがりのイメージができてきます。
みそ汁をつくるときも、お茶碗に入った見た目を最初にイメージしますよね? それで「お揚げと豆腐だけじゃ緑が足りないな」とネギを切り始めたり。まずはカタチから入りましょう。その力は絶大です。
まず器ができました。いきなりA4の紙を埋めていくのもいいですが、先に考えたいのは「どんな文章にする?」ということ。
メインの具=テーマを決めよう
ワカメのみそ汁、豆腐のみそ汁、なめこ汁、しじみ汁……どれもいいですが、だいたいみそ汁にはメインの具材がありますよね。
文章のメイン具材は、テーマです。国語や小論文の問題なら「筆者の考えについての意見を400字で述べよ」なんて(ちょっとぶっきらぼうな)テーマが与えられますよね。
でも自分で書くときは、テーマを決めないといけない。
テーマは具体的であればあるほど良い。たとえば「みそ汁のつくり方」ではちょっとぼんやりとしています。テーマが大きすぎる。
テーマが大きすぎると、何を書けばいいか迷ったり、書いたとしても辞書的なまとめになって魅力がなくなったりします。
では「子どもが喜ぶみそ汁のつくり方」はどうでしょう。さっきよりだいぶいい気がしてきました。
さらに「野菜が苦手な子どもが喜んで食べるみそ汁のつくり方」ならさらにいい気がしませんか?
「野菜」をさらに白菜やタマネギやトマトにするともっといい。とにかく文章で大事なのはディティール、詳細です(これから何度も言います)。
もちろんそんなみそ汁のつくり方なんて知らない……なんてこともあるでしょう。そんなときはつくれる人に取材したり、つくった人の文献や発言を調べればいいんです。調べ方はあとで解説します。
まずはメインの具、テーマを決めましょう。
テーマで大事なのは、そのテーマに自分がどこまで共感できるかです。
文章にも熱量(カロリー)がある
みそ汁と一緒で、文章にも熱量(カロリー)があります。好きなチョコ菓子の口溶けの良さについてなら延々と語る自信がある。あるいは推しのアイドルがある曲でみせる仕草のキュートさについてなら文字数をオーバーしそう。そういう得意な話題は一番良いですね。
人は熱量に引き寄せられます。熱力学的にいうと、文章はエントロピーが低い。
カロリーの高い(エントロピーは低い/栄養価は高い)ものを食べて、エントロピーの高い、乱雑なものを排泄します。文章やコミュニケーションも、熱力学だと思うんです。
ともあれ、熱に引寄せられた、その「系」こそが価値です。
好奇心は人任せにしない
好奇心を人任せにしない(by BRUTUS元編集長・マガジンハウスの西田善太さん)。自由研究は外注しちゃダメ。あなたが知りたい、書きたい、伝えたい。好き。そういう動機こそが大事。ここだけはAIにもお願いできない。
縁のないテーマにどう取り組むか
ただ、文章を書く上で必ずしも自分が得意じゃないテーマに取り組まないといけないときもあります。
「大谷翔平の投球フォームのここがすごい」
「阪急電車の座席シートのこだわりについて」
とか(両方興味深いですが)。
そういうときは、問題を因数分解します。そのうえで自分の得意分野と共鳴する部分がないか探す。そして、好きになれないか試してみる。
大谷選手の投球フォームについて調べると、背筋を相当鍛えていないといけないと分かったとします(たとえばです)。それはもしかしたら推しのアイドルやお菓子職人の姿勢にも通ずるかもしれない。
阪急電車の座席シートにはヤギの毛が使われているらしいけど、それはお客さんの座り心地を追求した結果だった。こういう「こだわり」「サービス精神」はアイドルにもお菓子職人にもありそうです。
趣味は違っても、調べる情熱は得られるはず。
このように、自分とテーマとの「ベン図」をつないでみる。書き手が熱量をそそいだ文章は、一気に爆発力を持ちます。単純に、面白いのです。読む価値が出る。他の人を動かすカロリーになるのです。
※このあたりは、実はSEO(検索エンジン対策)に近い考え方があります。つまり、Googleの検索窓にどんなキーワードを入れる人がいるのか。その人はどんな疑問を持っているのか。どんな記事ならその人に喜んでもらえるか。テーマを選んだのは自分の興味からでも誰かに依頼されたからでもいい。ただその文章を届ける人がどんな人かを想像できればできるほど、文章は良くなるんです。
お味噌汁を誰に作るかのように、文章も誰に向けて書くかがすごく大事です。
例えばこの講座や文章は、ある一人の知り合いを想定してつくっています。
一人にちゃんと届けば、他の人にも届く
もちろんその方以外にも喜んでほしいわけですけど、まずその方に喜んでもらえれば他の方にも届くんじゃないのかという思いでやっています。
その人はいつも文章を書くのに悩んでいて、書きたいことはたくさんあるのに、いつも時間が取れずに書き出せない。そもそもどう書けばいいのか分からない。
本はたまに読むけど、いつも自分や家族のためにいつも働いてご飯とかも作らなきゃいけない、時間がない。そんな人が短時間で、理解しやすい形にできるか。
そう考えて、お味噌汁に例えてみたり、ビジュアルを多めにしたり、パートに分けて短く構成したり……そういうことを考えました。
「誰」を具体的に考える
誰に作るかを具体的に考えれば考えるほど、文章はよくなります。
白菜が苦手な子どもに食べやすい味噌汁を作る。どうしたら食べてくれるか。白菜を柔らかく煮るのか、細かく刻むか、ロールキャベツ風にしてみるか。いろんなやり方があると思います。具体的に「この人に」ろ思い浮かべると、やり方もすごく具体的になってくるんですよね。
前にも述べたように、ディテールが文章には大事です。届ける相手がどういう人なのか、どういう悩みを持ってるのか、どういうニーズを持っているのか。そういうことが想像できていればいるほど書く文章のディテールが深くなります。
それが文章の価値になるし、他の文章との差別化にもなるし、読みごたえとかにもなってくるわけです。だから誰に向けて作るかっていうのを一度ぜひ考えてほしい。
「To」の文章にする。「Cc」にしない
ある編集者の方がおっしゃっていて僕ずっと印象に残っている言葉があるのですが、「文章には『To』の文章と『Cc』の文章がある」と。
例えば営業課の皆さんにCcで送って、課長宛にToで送る。ビジネスの場ではよくあると思うんです。ただ「Cc」の文章って、Ccに入れられた人は読み流すことが多い。当事者性がないから。
一方、「To」の文章って読み流せない。自分以外の人に向けて書かれたToの文章でも、響くことがある。
だからまず誰に向けて「To」で届けるかをしっかり考えてみるのが、良い文章を書くポイントです。
以前勤めていた会社の大先輩が教えてくれた企画のミソがあります。
誰のために/どうなることを期待して/何をするのか
誰のために
どうなることを期待して
何をするのか
これが分かれば企画書としてはいい、と。
この公式を味噌汁に当てはめてみます。
キャベツが苦手な4歳の息子のために
最後まで食べてもらうことを期待して
キャベツを細かく切ってベーコンと炒めた味噌汁を作る
この企画のミソは文章、ZINEや本づくり、他の企画にも使えます。
今回のこの講座でいば、
文章について知りたくても忙しくてなかなか時間が取れない方のために
興味を持って毎日少しずつでも読んでもらうことを期待して
身近な味噌汁の作り方に例えた、ビジュアルが多め・短い動画や文章の講座にする。
ぜひ文章を書き始める前に、企画の3行を簡単に書いてみてください。ぶれにくくなります。
物語の類型1「欠落を回復する」
この企画の基本というものが、脚本術でいう「ログライン」に似ているんです。ログラインとは、その映画を1行で言う、みたいなものです。「誰が」「何をして」「最後どうなる」みたいなことです。
企画はストーリーになるんです。
ストーリー、物語ってどういうものなのか。
文芸評論家、まんが原作者の大塚英志さんの『ストーリーメーカー 創作のための物語論』(星海社新書)などの本を読むと、物語の典型の一つに「欠落を埋める」というものがあります。
例えばゲームの『スーパーマリオブラザーズ』だったら、
マリオとルイージの兄弟がさらわれたピーチ姫を取り戻すためにクッパを倒す
でしょうか。
民話・童話の桃太郎なら
桃太郎がイヌ・サル・キジを仲間にして鬼が島の鬼を倒し、姫を取り戻す
映画の『スター・ウォーズ』だったら、
ルーク(アナキン)・スカイウォーカーがパルパティーンを倒して、乱れたフォースのバランスを取り戻す
(Before)
どういう誰が
(After)
どうなることを期待して
何をする
=欠落が回復される。
何かに悩んでいる人、困っている人、求めている人にの欠落を埋めるようにこれをします、っていう企画書の形になってくる。
必ずしももちろんこういう「ペイン(痛み、困りごと)」を補うっていう考え方でなくてもいいんです。
物語の類型2「行って帰る」
物語の類型のもう一つに、「行って帰る」があります。
『マリオ』『桃太郎』『スター・ウォーズ』もこの類型も入っているんですけど、欠落を回復して、行って戻ってくるわけです。でも必ずしも欠落を回復しなくても話にはなる。
村上春樹訳もある、シルヴァスタインの『ぼくを探しに』『ビッグ・オーとの出会い』はまさに「失われたピースが埋まる」「元の場所に行ってから帰ってくる」みたいな物語になっています。
優れた企画は、良いストーリーになる、ログラインにまとめられる。
マーケティングでもペルソナ(人物像)を想定して企画を立てたり、カスタマージャーニーを用意したり、ストーリーボードをつくったりしますが、全部ストーリーになると思うんです。
さっきの味噌汁の例でいうとキャベツが苦手な息子が最終的に味噌汁で野菜を食べてくれる、そういう最後のハッピーエンドに至るための企画っていうことなんですよね。
これは文章でも同じで、想定する読者が何を求めていてどうそれを満たしてあげればいいか、そのために何を書くか。どんな読後感を抱いてほしいか。読み終わったあと、その人がどんな言葉を発したら成功か。
そのように企画をぜひ考えてみてください。
「俎上(そじょう)にのせる」という慣用句があります。「人や物事を問題として扱って、批評や考察をする」という意味です。
「俎上」とは「まな板の上」という意味です。味噌汁を作るときにもネギをトントン切ったり、なめこを用意したりとか、つくる前の準備をしますよね。
文章もまず俎上にのせるところから
文章も、まずある情報を俎上にのせるところから始めましょう。
文章はいきなり書かないのが大事です。特に何を書くのか分からないままパソコンを開いて、GoogleドキュメントやWordで書き始めるけど……止まってしまう。そういう経験はないですか? 僕はよくありました。1行目やタイトルだけのファイルがそれでたくさんできたりして。
そうやって立ち止まらないために何があればいいかっていうと、地図、設計図です。味噌汁のような料理にはつくる手順、レシピがありますよね。文章も、書き始める前にまず書くべきことを俎上にのせましょう。
具材=情報を集めてのせる
味噌汁でいうネギや豆腐、なめこのような素材。文章でいうと、一つ一つの情報です。まずバーって箇条書きでアイディアや取材した情報、自分の中の気づきを出す。この時点で表現の良し悪しとか、使う・使わないかは気にしない。思いつくまま書く。それは後から整理すればいいし、いらないものは捨てればいいんです。
会議の方法の一つに「ブレーンストーミング」があります。アイデアを出すのに使われることが多くて、発散と収束っていう2段階でやる。
「発散」のフェーズでは、みんなでバーっとアイデアを出したり、ポストイットに書き出したりする。この時点では互いの意見を否定しない。
その後の「収束」のフェーズで「これとこれは似てるよね」ってグループ分けしたり、「これはちょっと違うね」と外したり、それぞれに優先度をつけたりして、アイディアをまとめていく。文章も同じで、まず自分で自分の中に編集者持たずに、突っ込まず、テーマに対して思いついたことを箇条書きにして書いていきましょう。
その後で素材を取捨選択したり整えたりすればいいわけです。
マッチしないジャンルの文章もある
ただこの書き方が万能かっていうと必ずしもそうではないと思います。詩情・ポエジーを表現したり、個人的な思いを勢いで吐露したたりって場合には向いてないかもしれません。
太宰治の『駆け込み訴え』みたいに、口述筆記のようなものも。ただこういう場合でも、ある程度「こんなことを書こう」というストックは無意識にもあるはず。
個人的におすすめなのは手帳を持ち歩いてそこに思いつくままにメモを取ったり、スマホの音声メモをしたりして、情報をたくさん持っておく。
後からそのメモを見返して使えるネタを編集していく。メモを取ったときの勢いはいかしつつ、冷静に構成された文章を書くことができます。なのでまず、書くべきことをまな板の上に集めましょう。
そこから文章が始まります。
まな板の上に素材を集めました。事実、書きたいこと、いろんなテーマの中でこれは書きたいというものを箇条書きでバーっと書いていく。これからやるべきは、いらないものを捨てること。集めた中でいるもの、いらないものを取捨選択していく。
箇条書きにした中にいらないものはあるか
このあたりはコミックナタリーの初代編集長の唐木元さんの『新しい文章力の教室』(インプレス)でくわしく紹介されているのでぜひ読んでほしいと思います。
まず箇条書きでテーマに沿って文章の素材をバーッと書いていきます。これが「骨子」。
例えばこの講座の最初の「まず器を」というパートはどう書いたか。
最初のメモにはこう書いてありました。
まず先に本の「カタチ」をつくる
限界も大事(ページ数、文字数、締切)
とりあえずつくることが大事
器をつくってからどう埋めるか考える
Instagramにのせようとみそ汁をつくると緊張する。でも毎日のみそ汁は考えずにつくれるのでは(そのくらい気軽に書いてほしい)
イベントに申し込んで締切をつくろう
この時点では自分のアイデアに対して何の批判もしていません。
この原稿のテーマは「なかなか書き出せない人に、とりあえずカタチにして埋める方法があると伝えて少し『これならできるかも?』と思ってもらう」です。
このテーマに照らし合わせると、「Instagramにのせようと~」のくだりはあまり関係ないことが分かります。実際のみそ汁づくりでは食材は大事にしたいですが、文章作成の上では要らないアイデアは思い切って捨てましょう。余計な部分があると文章は伝わりにくくなります。
残しておきたくなるんですよね、書き手の心情としては。でも受け手からするとテーマに沿っていない情報はノイズになって読みにくくなるので、なるべくその主眼に合わないようて間に合わない骨子の部分は捨てた方が伝わりやすくなります。
素材の取捨選択ができたら今度は順番を並び替えます。どういう順番で伝えたら、読者に伝わりやすいか考えます。良い手順で味噌汁をつくれば、味も染みるし消化もよくなります。
この講座の「まずは器を」の文章では、順番はそこまで入れ替えていません。「とりあえずつくることが大事」の位置が変わって、表現を変えて最初と最後に2回繰り返されています。これは書きながら調整した部分ではありますが、テーマに照らし合わせたときに「とりあえずつくろう」という部分を強調したい、と考えたためです。私が今まで読んだ文章術の本には「まず紙を折って白紙の冊子をつくってみよう」という導入はなかったので、これを際立たせたかった意図もあります。
良い順番にはフレームワークがある
良い順番については、いくつかフレームワーク(枠組み)があります。
たとえばマーケティングの世界では「AIDMA(アイドマ)」などが使われます。これは受け取った人に態度を変えてもらうためのフレームワークです。
A……Attention(注意)
I……Interest(興味)
D……Desire(欲求)
M……Memory(記憶)
A……Action(行動)
AIDMAはある程度の期間を想定した、購買プロセスで使われることが多いですが、たとえば通販商品のダイレクトメールなどではAIDMAの手法が利用されています。
A……Attention(注意)暑くなってきましたね。冷房の効きが悪くて買い替えを検討されていませんか?
I……Interest(興味)夏真っ盛りですが、実は今がエアコンは買い時なんです。
D……Desire(欲求)型落ちだけど高性能なエアコンが今なら通常価格から50パーセントオフです!
M……Memory(記憶)※ここは購買プロセスのなかで、「どこかのタイミングで思い起こさせる」パートです。「テレビCMでもやっていた」「この間チラシでも見た」などの刷り込み、その記憶の喚起を行うなど。
A……Action(行動)お申込みはこちらのQRコードからすぐどうぞ。あるいはお電話も。注文が殺到するのでオペレーターを増員してお待ちしております!
PREP法
AIDMAなどのフレームワークは注意や欲望を喚起するマーケティングに使われますが、論文や文章のフレームワークとして有名なのは「PREP(プレップ)法」というものです。楽曲でいう「サビ頭」のように、最初に結論を持ってくる。
P……Point(結論)
R……Reason(理由)
E……Example(具体例)
P……Point(結論)
よく僕が使う例えは、私が経営するDIY BOOKSのある武庫之荘(むこのそう)の町の魅力について。
P……Point(結論)「武庫之荘はいい町だ」
R……Reason(理由)「なぜならスーパーがたくさんあるからだ。良いもの、安い商品を選ぶ選択肢が多い」
E……Example(具体例)「南北のサンディ、フレスコ、阪急オアシス、KOHYO、マックスバリュ、マルハチ、モンマルシェ、業務スーパー……ドラッグストアも多い。豚肉はサンディ、乳製品はサンドラッグがおすすめ」
P……Point(結論)「武庫之荘はスーパーが多いから、いい町だ」
このように流れで説明すると理解しやすくなります。
書き手と読み手はピラミッドを逆に見る
PREP法はピラミッドストラクチャー(ピラミッドのような構造)にまとめることができます。
さっきのエアコンの例でいうと(本当にこういうものがあるわけではなく今適当に書いているのでご注意くださいね)、
P(結論/ベネフィット)すぐ冷えるエアコン
R(理由/目玉機能)6畳なのに20畳のパワー/全部自動でおまかせ/一定気温を保つ
E(根拠/細かい機能)業務用と同じ構造を採用/温度センサーと調節機能/その他、さらに省エネ機能も、Wi-FiやBluetoothに繋いでスマホで操作可能。あの野球選手も御用達
注意すべき点として、書き手としては下の「根拠・骨子」から積み上げていくんですが、読み手は上の「結論・主眼」から読むということ。ピラミッド構造の逆になるんですね。
こういった構造、順番を意識すると文章はよりシャープになります。
文章にはディテールが大事です。より具体的に、細かいことを書く。味噌汁と一緒で、細かく野菜を切った方が消化にはいいわけです。もちろん乱切りにしたり、大きく切った方がいい場合もあるとは思うんですけれども。
とにかくディテール。ディテール。
ディテールは文章にとって重要です。
ナタリー・ゴールドバーグさんの『魂の文章術』(扶桑社)という本にも書いているんですけど、細かいディテールに気づけるっていうことはそのときの世界を肯定すること。
この文章を書いている時点では、向かいにあるスーパー・サンディはもう閉まっています。隣の不動産屋さんが今シャッターを閉めました。エアコンとサーキュレーターは働き続けています。人の声がない中、トラックの音だけが聞こえている。そんな中で僕は1人喋っている……みたいに。
ディテールに気づくと、「今・ここ」に自分がいることを肯定できる。気づいた人やモノ、コトを肯定することでもある。
細かすぎて伝わらないモノマネは細かいから面白い
どこか矛盾しているようですけど「細かすぎて伝わらないモノマネ」って人気番組がありますよね?
例えばその中で「360°モンキーズ」の杉浦さんとか、いろんな方が野球選手の細かいモノマネをする。正直、僕はあまり野球にくわしくないので分からない選手が多い。それでもなんだか笑ってしまうのは、「なんかめっちゃ細かいところにこだわってるな」「気づけてすごいな」「野球のくわしい石橋貴明さんが笑ってるし似てるのかな」とかそういう部分が笑いになるわけですよね。
これが「ある中日の選手のスイング」っていう漠然としたテーマだと、当然笑えないわけです。
固有名詞や分析も具体的に書く
エッセイでも説明的文章やレビューなども同じです。ディテールが重要。具体的に書く。
僕は仕事の一つとして、映像系のメディアの編集をしています。
ライターの方がよく文中で「本作」って書くことがある。これが何度も出ると、何について書いているのか分からなくなる。とくにWebだと飛ばし読みをする人も多い。ここをなるべく『コミンスキー・メソッド』とか、『ガンダムOO』とか『三体』とか……そういう具体的な作品名を書く。もちろん「本作」って言い方が適してる場合、文脈もあるんですけど。やたらに連発するとぼやけてしまう。
「この映画は老若男女楽しめる映画です」って意見も、何かを言っているようで何も言っていないのと一緒になる。『コミンスキー・メソッド』っていう作品でいったら、「往年の映画好きはニヤニヤできるし切なくなるのでぜひ観てほしい」みたいになる。
ーーー
演技を教えて生活しているコミンスキー。老いらくの恋をしたり、仕事のチャンスを再びつかみそうになったりするけれど……頻尿や娘との関係に頭を悩ませる日々。女性関係のもろもろは、演じるマイケル・ダグラスの実生活を戯画化しているのだろう。親友役のアラン・アーキンがとにかくいいし、ダニー・デビートとか映画好きだったら興奮する俳優がチョイ役で出てきたりする。
ーーー
だいぶ細かく書きましたけど、こうして観てほしい人を限定した方がより伝わるし、その根拠もくわしく書いたほうがいい。これはWeb記事なら、SEOにも効果がある。
ZINEやほかの紙媒体でも、このように具体的に書くことが役に立つはずです。ディテールは世界を肯定することとか、その人自身を肯定することでもあるし、細かく伝えることで読み手も読みやすい。読者のことも肯定することになります。
だから、ぜひディテールを意識して書いてみてください。
あなたがスーパーで買い物をするとき、まず何をチェックされますか? 産地は見ますよね。鹿児島県産、栃木県産、しじみだったら宍道湖(しんじこ)とか。もちろん値段も賞味期限も大事ですが……。
文章でもファクトチェックが大事です。ファクトというのは事実のこと。
文章を書くにあたっては事実を集めないといけません。エッセイの場合だと、自分の収集した事実や心の動きってことになる。
真実と事実は違う
真実と事実は違います。
真実……ありのままであること。
事実……本当に起こったこと。あるもの。いる人物。
事実は客観性があって、誰しもに平等に本当なこと。真実っていうのは主観的で、人によって違うことがある。
内面の真実と社会の真実をつなげる文学(文章)
昔、文学部の授業で一番感動したのが「文学とは個人の『内面の真実』と『社会の真実』をつなげるもの」という言葉。
文章もそうだと思う。
真実は人によって違う。「ポスト・トゥルース」とかいわれるけど、みんな真実、本当のこと、本当の言葉を求めてそこをすり合わせるようと文に書いたり、コミュニケーションをしたりすると思うんです。
事実は誰しもに平等
ただ事実っていうのは平等で一つなわけです。今日が2024年の8月20日である、とかそういうこと。
事実をネットで適当に調べるだけではだめ。Wikipediaとか有益な記事はたくさんありますが、いろんな人が編集できることもあったり、ファクトチェックがされないまま掲載されたりもしています。
今はChatGPTなどAIに聞いて答えてもらうこともすくできる。なるべくそういう場合も「●●の公式サイトとか、信頼できる複数のソースをあたって調べて」ようにプロンプトで依頼した方がいいです。
価値があるのは一次情報
基本的に、価値のある情報というのは一次情報です。それは当事者の情報。取材をしたり、話を聞いたりして得られるもの。あるいはその人が書いた文献とか、言葉です。
次に二次情報は一次情報に対する報道とか、解釈をしている書籍とか、ドキュメンタリー。
どんなソース(根拠)をあたるかが大事です。
信頼できるソース(発信元/根拠)をあたる
例えば官公庁の情報。報道機関には恣意性(しいせい)が出る場合もありますが、NHKや新聞各社の情報を複数あたる。
ネットで検索するにしても、総務省の統計情報を見る。任天堂のゲームについて書くなんだったら、任天堂の公式サイトの情報をチェックする。Wi-Fiや通信について書くんだったらNTTのサイトを参考にする。株式・IR情報を見るとか。
なるべく公的な機関だったり、当事者が発信している情報、書籍を優先して一次情報に近い情報を取るのが大事です。そのときに参考にしたURLとか参考文献というのをちゃんとリストにしておいて、何かあったときにたどれるように残しておきましょう。
一番もしかしたら大事かもしれないのは、自分を疑うこと。「これは正しい」って思っていても、それは思い込みかもしれない。そこを真摯にですね疑って、産地チェックと一緒で自分で調べる。一次情報をなるべく取る。とても大事なことです。
味噌汁の味の決め手は、ダシだと思っています。味噌がうまいのはもちろんのこと、シジミやなめこなど具材がおいしいのも当然なんですけど、やっぱりダシのうまい味噌汁がいい。
文章においての「ダシ」が何かというと、あなたの人生経験や「人」です。お笑いでいう「ニン」みたいなもの。
こんなところにダシが出る
一次情報としてのダシもあるんですが、
テーマの選び方
「てにをは」の使い方
文末の表現
そういう細かい表記や文体にも関わってくる。
何を選ぶのか、編集するのかにダシが生きる。人が出る。
味噌は手前味噌、自分の味噌を使うことはできる。だからノウハウは自前でもできるし、もちろん買うこともできる。
ダシだってもちろん買ってくることはできますけど、どのぐらい煮出すか、ダシ同士の組み合わせとか、食材の組み合わせ方、これはなかなか難しい部分です。
あえて狙って「こういう文体で書きたい」ということもできるけど、ダシは自然ににじみ出るものだと思います。
その人にしかできない組み合わせがある
経験ということでいうと、SEOでもGoogleは経験を重視してきました。誰が書いた情報なのか、経験からくる言葉なのか。
今はAI生成が非常に簡単になってきているからこそ、この経験が生きるっていうのはあると思います。
chatGPTに例えば「味噌汁におすすめの味噌20選」とか、そういう記事を書いてもらうのはやりやすい。こういうまとめ系はAIが得意です。あとは「一般的な味噌汁の作り方」とかですね。
ただ例えば土井善晴先生のように『一汁一菜という提案』のような「味噌汁にダシはなくてもいい」とか、「キャベツやソーセージやベーコンを突っ込んでもいい」とか、「おかずがわりに味噌汁をつくろう」というのは土井先生だから思いつくテーマ。実際に経験していることですし。
娘の土井光さんも最近本を書かれていますけど、光さんの立場で見られた土井家の様子や土井家での食べ方、というのは一次情報ですよね。これは土井先生や光さんにしかできない。だから価値がある。
情報やテーマの選び方、編集のやり方に人が出る。ここにこそ価値があるんですね。
ダシというのは、これまでの読書体験や書いてきた経験はもちろんですけど、人生経験が生きる部分だと思います。いい意味でクセが出る。ぜひにじみ出るダシを楽しみながら書いてほしいなと思います。
ここが核心部分です。今まで「ミソ」をノウハウにたとえてお話をしてきましたが、一番のノウハウが何かというと、私は「構造」だと思っています。
PREP法
起承転結
セールスレターで使う「PASTORフォーミュラ」
文章の構造にもいろいろありますが、まずはそういう「型にハマろう」と言いたい。
型を学ばないと「型破り」はできない
芸の道には「守破離」っていう言葉があります。まず型を学んで守って、それを自分で考えて破って離れる、自立する。まず型を知らないことには、離れようがない。
いきなり味噌以外を使う味噌汁っていうのはちょっとしんどい。豆板醤とかクリームシチューのルーとか……やはりまず味噌を使うし、ダシをとるし、豆腐を入れておこうとなる。
家を建てるのも一緒で、骨組みがなきゃいけない。見た目や素材は違っても、基礎があって、骨組みがあって、外側の壁があるのは基本的にはどんな建物も一緒ですよね。イヌイットのイグルーにしても、モンゴルのゲルにしても。ただ中心の柱の置き方とか、そもそも全体の重さの支え方とかは違う。
それぞれの伝統があって、そこには理由もある。先人の知恵もある。自己流でやる前に、まず作りを学ぶのがすごく大事。
構造を大量にインストールして書けるようになった
僕は割と小さい頃から文章を書くのが好きでした。
最初は書く力に自信を持っていたし、国語も得意で、授業もすごく好きだった。ガチガチの文系で、大学受験は英語・国語・小論文だけ。
ただ、時折思い出すのは、高校時代にマンツーマンで小論文の指導をしてくださった先生が「これは論文じゃないね」という話をしてくれていたこと。僕は「良い文章だったらいいじゃん」と思っていたんですけど、やっぱりそれは駄目だった。当時の僕はエッセイ、ポエム、論文、説明的文章の違いが分かっていませんでした。
大学に入ると、優秀な人たちが周りにいて自分の限界を知る。映画サークルでも脚本が2年間書けないで鬱になる。僕はそこで図工やDIYという概念と出会い、MovableTypeやWordPressでブログを作って書いて、ある程度リハビリできたんですね。
そのときに、文章のフレームワーク、構造をいっぱいインストールしたんですよね。脚本の書き方が分からないので、「シド・フィールドの脚本術」とか物語の書き方とか、典型を勉強しました。それは自分の卒論、物語の類型の研究にも繋がった部分ではあるんです。
大学を卒業して会社に入ると、それまでの文学的な文章とは打って変わって、通販・マーケティングの文章を書くようになった。自分が顧客ではない商品を売らなきゃいけない。そんなときに先輩にダイレクトマーケティングの文章の書き方を教わったり、AIDMAの法則などを知ったりするわけです。
一時期はまったく書けない時期があったんですが、数を書くこと。そして構造を参考にして書くことで、僕は書けるようになったんだなあと思います。
構造こそが、文章のミソだと思う。
AIに良い文章の構造を分析してもらうこともできる
今はchatGPTやGeminiなど、AIに「この文章の構造を分析してください」っていうと構造を引っ張ってきてくれます。
そのときに「エッセイを書きたい」「セールスレターを書きたい」とか、どういう項目に分析するか前提条件、枕詞を書いておくと精度が高くなります。
「あなたは優秀なライターです」のように、ロール(役割)をふるのもいいとされています。
ミソをとく瞬間が、味噌汁になる瞬間ですよね。その味噌、文章の構造を自分の文章にジンワリ入れていく。ぜひなるべくいろんな良い文章の構造を見て、学んでストックされていくのがおすすめです。
味噌汁をつくるとき、味見をしますよね。文章にも味見が大事です。
「味が薄い」「ダシが効いてない」と思ったら、調整する。文章でいうなら、素読み・吟味・校正、校閲の段階です。
校正
校正は字面をチェックする作業です。意味を読むというよりは、図像として文字を見て、間違っていないかをチェックをする。
三点リーダーが1回しか使ってない(2回繰り返す)
「見れる」と「ら」が抜けている
「大して」が「対して」になっている
校正作業では、このように誤字・脱字や、間違った表記がないか見ます。
吟味
吟味は「この言い回しは文脈的に適切ではない」とか「この方がいいんじゃないか」と誤解を与えず、より良い表現を考える作業です。
紙に原稿を印刷して赤いペンで赤入れするとヌケモレしにくいと思いますが、僕は本業のWeb編集の仕事ではGoogleドキュメントの「提案モード」でチェックさせてもらうことが多いですね。
どういう観点でチェックするか
主な観点の一つはファクトがちゃんとしているか、裏づけされているか。自分自身も文献や公官庁のWebサイトなど、いろんな情報にあたってチェックします。
後は『記者ハンドブック』(共同通信社)などの本を参考にして、差別表現がないかとか、言い回しの部分や重複表現がないかといった観点で原稿を見ます。「誰かを傷つけないか」という視点は肝要。
Webでのチェック観点の一部
Webに関していうと、こういう観点でもチェックします(一部)。
画像や見出しで意味のある段落が区切られているか
スマホで見たときに、例えば200~300字ぐらいの段落のまとまりがあるか
H2、H3など構造として問題ないか
紙媒体でも一緒ですけど、文字面が「黒い」「白い」っていう観点があります。
黒い……漢字が多い
白い……ひらがなが多い
なるべく白い方が読みやすい。
ちゃんと自分が書ける漢字を使おう
あとは「傍(かたわ)ら」「専(もっぱ)ら」と、パソコンやスマホの自動変換で漢字を使ってしまう場合があるので注意しましょう。自分が紙にペンで書くときに書きますか? 違和感があると思います。こういう「副詞などの当て字」は使わない。
ここに気をつけるだけで文章がシュッとする
あとはここを気をつけるとシュッとした文章になるポイントです。
3点リーダは2回以上(偶数回)繰り返す(「・」←ナカグロ3つは使わない。「ナカグロ」「句点」を変換すると出る「…」を使う)
並列の場合の「たり」は2回以上繰り返す
感嘆符「!」・疑問符「?」の後ろには「全角」スペースを入れる
(小学館方式以外は)鍵括弧の最後の句点は取る
「重複表現をしていないか」も大事です。
「何とかでした」「言うのでした」と同じ文末が繰り返されるとちょっと読みづらい。他の文末表現に変えるとだいぶ読み味が変わってきます。
中学2年生が読みやすい文章か?
あとは主語が明確か、修飾節で長く頭でっかちな文章になってないか。修飾が「かかる」場所が分かりやすいか。
例:岩手県出身で、かつて日本ハムファイターズでプレイし現在はドジャースで活躍する史上最高の野球選手・大谷選手の年俸が
(長い。あと「史上最高の」が「大谷選手」にかかるのか「年俸」にかかるのか分かりにくい。なるべくこういう場合は復数の文に分けるかいらない表現を省く)。
一つの基準としては「中学2年生が読んで読みやすいか」。
漢字や語彙の使い方を中学2年生でも読みやすく書けるといいでしょう。
味見をするように、書いたものを一度チェックするクセをつけるのがおすすめです。
ようやく味噌汁、もとい文章ができました。おめでとうございます! 素晴らしい。
最後のチェックとしては、校正・吟味もそうですが、要件を満たしてるかということ。「豆腐の味噌汁をつくる!」と宣言して、ちゃんと豆腐の味噌汁をつくりましたかという……なんか変な言い方で申し訳ないですけど、そういうことです。
要件定義のチェックリスト
要は自分の企画書どおりに書けたか。システムでいうと「要件定義」です。「これこれこのための、こういうシステムです」という定義に対して要件をちゃんと満たしているか。
締め切りに間に合っているか
文字数は問題ないか
音読して問題ないか、よどみなく読めるか、リズムはいいか
目的・目論見が達成できているか。
読んでほしい人に読みごたえがあって、わかりやすい文章になっているか
お鍋から器に飛び立つ文章
これから、今までつくってきたお鍋を離れて、お茶碗・汁椀にお味噌汁が入るわけです。食べる人が手に持つところに行く。文章が飛び立つわけです。
スマホで読まれるか、本やZINE、手紙とかパソコン、タブレット……いろんな形があると思いますけど、文章がその媒体で読まれるときにちゃんと違和感がないかっていうチェックをしましょう。
フォントの選び方
文字の大きさ
字間・行間
自分でつくって刷るような場合、ブログで発表する場合などは上のような点も大事です。
あとは文学賞などでは「原稿の1枚目に名前・住所・概要・タイトルを入れてください」といった規定がある場合がある。
そういった規定に従っていないと、読んでもらう段階にまでたどり着けない。まずは最低限の要件を満たしているかのチェックをぜひしてくださいね。
いよいよ佳境に入ってまいりました。やっぱり、おいしいお味噌汁をつくったら、いい「ごちそうさま」の声を聞きたいですよね。このためにやってきたと言っても過言ではない。「味が薄い」「濃い」じゃなくて。
文章の場合、反応を聞くということ。
まず誰かに読んでもらおう
いわゆる編集者は最初の読者。そこで客観的な意見が出てきて、それをブラッシュアップして文章はどんどん良くなっていく(はずです)。
編集者でなくても、ご家族・ご友人、知り合いでもいいのでできたら読んでもらう。感想を聞く。校正・吟味の段階で自分以外の誰かに見てもらうのもおすすめです。誤字・脱字はダブルチェック、トリプルチェックのほうが潰しやすい。内容についても、自分では気づかなかった意見をもらえることがあります。
すべてを受け入れなくてもいい
ZINEを出したり、文章をWebに出したりしたらその反響を見る。率直に誰か読んでくれた人に聞いてみるのもいいと思います。全部の意見を受け入れなくていいと思うんですが、真摯に自分が「そうだな」って思うんであればそこは受け入れる。次の文章に活かす。
どんな読後感をもってもらいたかったか
もう一つ文章の「ごちそうさま」にあたるのが、「読後感」です。
なんかこれ面白いな
ためになったな
読みやすかったな
という声です。
読後感は企画の時点での「どうなることを期待して」に対する実際の反応でもあります。
「面白さ」と一口にいってもいろいろあります。
新しさ
深さ
過剰さ
共感できる
怖い
悲しい
笑える
文章もサービス業と考えると、相手が期待したものに応えられているか。
「A=B」ではなく「A=A」を求められるネット
SEOの観点でもそうで、例えば「味噌汁の作り方」って検索したときに、検索した人は文字通り味噌汁の作り方が知りたいわけです。「味噌汁を作って僕の人生が最高になった話」を聞きたいわけではないんですよね(面白そうですけど)。
検索は「A=A」を求めている。答えが欲しくて検索するから、検索エンジンはどんどんchatGPTとかに置き換えられていくわけですけど。
僕はSEOを意識したコンテンツをつくるときは、一対一対応なんだけど、答えとしての1が「1.1」になったり「1.2」に少しでもなればいいなと思っています。
文章はサービス(なところがある)
SEOやWebメディアはサービスとしての文章という役割が強くあります。だからインタビューやエッセイは上位に上がりにくい。ただそんな中でも、その人らしさ、ダシが活かされてよりよくなってくることがある。
例えば、僕はNetflixでも放映されてる『スタートアップ:夢の扉』という韓国ドラマのレビュー記事を書いています。作品名でそこそこあなたが読んでいる今でもGoogleで上位に入っているはず。
このドラマは1話目がとっても良かったんです。連続ドラマというより、1話だけ別個の映みたいな話だし、完成度だった。
主人公のダルミという少女と文通相手との誤解とか、素敵で不憫なお父さんとか、離れ離れになった家族の話とか……「こんなドラマ見たことない」っていうぐらい1話がものすごくリッチだったんです。それを伝えたかったんで、タイトルに「とにかく一番見てほしい」とを書く。記事のメインはあらすじやキャストの紹介なんですが、「1話目を見て」に熱量を注ぎました。部分だったりするわけですねそういうのは自分が伝えたいって思うやっぱ熱量があるし、1話目に誘導するようなシンプルだけど熱い構成にしました。
エッセイは自分だけの秘密をおすそわけする
松浦弥太郎さんの『エッセイストのように生きる』(光文社)という本はすばらしいですが、松浦さんがいわれるようにエッセイって自分だけの秘密を見つけて語る部分があるわけです。自分自身しか気づいてないような、自分に響くモノやヒトやできごと。
秘密を語るということは、そこには「人」が出るわけです。人が出るし、経験が出る。そこのダシが効いた文章でその人にいい読み味を届けたい、こういうふうに思ってほしい。
「今日はいい文章読んだな、ごちそうさま」って思ってもらえるように書くっていう姿勢が、あなたの次の文章をより良いものにすると思います。
文章を真剣に書いたら、疲れます。偉業を成し遂げたわけですから。疲れたら、休んでほしい。ただ食べ終わったら、お皿を洗わないといけない。でもここでは食洗機を使ってもいいと思うんです。
AIは便利に使おう
文章で食洗機って何だろうって考えると、AIじゃないでしょうか。自動で校正や文章生成をしてくれます。
例えばchatGPTはすごく便利で、「で・ある調」を「です・ます」調に変えるなんて作業はすぐぱっとやってくれます。要約したり、見出しを作ったりも。
「あなたは優秀なライターです。Googleで検索上位になりそうな、『味噌汁のつくり方』のプロットを書いてください」と指示して、そのプロットが良ければ「これで2,000字の原稿を書いてください」とか、そういう作業はお手の物です。
リサーチにも使えます。「このWebサイトを参考に調べてください」とちゃんと指示すれば、それなりの結果を出してくれます。ただファクトがしっかりおさえられない可能性はあるので、ある程度は自分でちゃんとチェックするようにしましょう。使うのは自由だけど責任は伴うんですよね。
自分で書くから成長がある
ただやっぱり、好奇心は人任せにできないし、自由研究は外注できない。書くことは自分の熱量が表れるもので、「わざわざ」自分で書くことは、セラピーにもなる。
書いて初めて気づく、自分自身の思いがあります。「DIY」の魅力はそこだと思っています。つくることで新しい自分自身の気持ちに気づいたり、あるいはそれに対する誰かの反応で自分がまた変化できたりする。
それは自分でやるからこそ、成長できるわけです。自動化できる部分は自動化して問題なし。ただ、一番大事な熱量を注げる部分は自分でやる。
味噌(ノウハウ、構造)の分析やノウハウの蓄積にAIを使うのはおすすめです。
このミニコースもそろそろ終わりに近づいてまいりました。ここまでおつき合いいただいてありがとうございます。最後に、ぜひお味噌汁をつくるんであれば、毎日つくりましょう、とお伝えしたいと思います。
明日もつくりましょう。明日も書きましょう、ということです。
これは単純に味噌汁への思いになりますけど……個人的に味噌汁を飲むと本当に落ち着きます。胃腸がほっとするというか、浄化されるというか、腸内菌が喜んでる感じがするんですね。
やっぱりお味噌汁をつくるのと文章を書く行為って、似ていると思うんです。つくること、書くことで現実を変えられるし、働きかけられる。自分が主体的に熱量を持って取材して集めて、新しい形を生み出す。
つくること、書くこと自体が気持ちいいんですよね。DIYは人の営みだと思うんです。自分の形を作るっていうのは。だからまずは気軽に書くことから始めてほしいです。
お湯に味噌をといただけでも味噌汁ですから、まずは構造・フレームに沿って書くだけでも立派な一歩です。あとはそこにどういう素材を入れていくのか。ファクトを確かに揃えられるか。
素材の順番を整えて、構成していく。整えるときにテーマを設定する。いきなり書き出さずに、設計図を書いてから臨む。
そしてあなたの手前味噌、手づくり味噌をどんどん熟成させていってもらえればと思います。自分なりのやり方を見つけていくのが一番面白い。
おいしい味噌汁を自分で飲むように、あるいは誰かに毎日つくって届けるように、ぜひ明日もあなたが文章を書いてもらえたらうれしい。
そのためにこのコンテンツが役に立てたなら、僕はとても満足です。これからちょっとまたお味噌汁を飲みに帰りたいと思いますけど、ぜひこの講座を参考に文章を書いてもらえたら嬉しいです。ありがとうございました。
誰もが文章は書けるかもしれません。AIもだいぶ良い執筆のパートナーになってきました。
それでも「何を書くか」を決め、熱量を注ぐのは自分でやることです。
お味噌汁を「おいしい」と言ってもらうように、文章には届けたい相手が「読みやすい」「満足する」順序や形式があります。
私が関わるお客さまからはこんな悩みをお聞きすることが多くあります
読みやすい文章が書きたい
マンネリ化しない表現がしたい
時間をかけずに書き上げたい
その応えになる手順を、お味噌汁の作り方に例えながら、短い17の動画とテキストにまとめたのがこの「文章のみそ知る」です。